監禁罪の成否
AはXの目的に気がついていないことから、監禁されている認識を欠いている。
したがって、現実的自由説であれば、監禁罪は成立しない。
一方、可能的自由説であれば、車の走行によって移動できる可能性が侵害されているため、監禁罪が成立する。
また、意図に途中で気が付き、自動車の走行中にドアを開けて脱出したのであれば、どちらの説であってもその時点で監禁罪が成立しており、脱出の際に負傷したのであれば、監禁行為が有していた危険性が傷害に現実化していることから因果関係が認められ、監禁致傷罪が成立する。
強制わいせつ罪
客観的構成要件に該当するが、同意があり、13歳以上と誤信していた以上構成要件的故意がなく、犯罪が成立しない。
一方、14歳の被害者を12歳であると誤信して、同意のうえでわいせつ行為に及んだ場合、客観的構成要件に該当しないため、犯罪が成立しない。他方、12歳の子供に対して同意なくわいせつ行為が行われる具体的危険性が生じていたため、強制わいせつ未遂罪が成立する(?)
住宅の前庭に立ち入った
建物の付属地として建物利用のために供されることが明示されている前庭については、住居侵入罪は既遂に達する。
塀についても、住居の利用のために供されている工作物である以上、「住居」の一部を構成し、住居侵入罪は既遂に達する
マンションへの立入り
広告関係の投稿が禁止されているところビラ配布の目的で侵入することは管理件者の医師に反し、態様も、「各住戸のポストに」ビラを投函することであって軽微ではない法益侵害があることから、邸宅侵入罪が成立する。
関係法令
(逮捕及び監禁)
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
(逮捕等致死傷)
第二百二十一条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする
(未遂罪)
第百七十九条 第百七十六条から前条までの罪の未遂は、罰する。