BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

生命に対する罪の復習

交通事故で妊婦に傷害

 出産前であれば、いまだ始期が到来していないため、犯罪は成立しない。

 他方、帝王切開した場合は全部露出していて始期が到来している。抽象的法定符号説を転用する判例の立場であれば、過失運転致死罪が成立しうる。

嬰兒の放置

 まず、医師の身分で違法に行っていることから、業務上堕胎罪(214条)が成立する。

 そして、結果を支配しうる状況にあり、さらに、未熟児を母体外に排出させる堕胎という先行行為による危険創出があることから作為義務が認められ、作為の可能性・容易性も認められることに加え、結果回避可能性も合理的な疑いを超える限度で認められることから、保護責任者遺棄致死罪(219条、218条)が成立する。

 両者は、併合罪となる(それとも吸収??)。

傷害致死罪

威嚇するつもりが傷害を負わせた

 有形力の行使という暴行の故意はあり、傷害が発生している以上、傷害罪が成立する。

承継的共同正犯??

Xの罪責

 Xにとっては、第1暴行と第2暴行を一連の行為として見ることができ、一連の暴行によりAを死亡させた以上、傷害致死罪が成立する。

Yの罪責

 他方、Yについては、Yの暴行により死亡結果が発生したか、因果関係が明らかでない以上、傷害罪の成立にとどまる。

第1暴行が死因を形成し、第2暴行によって死期が早められたとしたら

Xの罪責について

 第1暴行が死因を形成している以上、第2暴行によって死期が早められたとしても、第1暴行が有していた危険がなお現実化しているといえ、第1暴行と死亡結果に因果関係を認めることができることから、第1暴行について傷害致死罪が成立する。

 第2暴行については、同じく傷害致死罪が成立しうるが、第1行為の評価に含まれ、吸収される。

Yの罪責について

 第2暴行と死亡との因果関係が問題となるが、第2暴行が死期を早めている以上、条件関係が肯定され、因果関係も肯定される。

 XYが同時に暴行していることから、共犯の例により(207条)、Yは傷害致死罪の共同正犯の罪責を負う

関連法令

(同時傷害の特例)
第二百七条  二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。

(業務上堕胎及び同致死傷)

第二百十四条  医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、三月以上五年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させたときは、六月以上七年以下の懲役に処する。

(保護責任者遺棄等)
第二百十八条  老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

(遺棄等致死傷)
第二百十九条  前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。