BENRY[ベンリ―]

法学の予習ノート

共犯①

拳銃の貸与

 拳銃が故障していた以上、幇助犯は成立しないようにも思われる。

 しかし、拳銃を貸してもらえなければ犯行に至らなかった場合など、拳銃の貸与が犯罪を促進したような場合には、殺人の幇助犯は成立しうる。

(ただし、本件についてはもともと拳銃がなくても犯行に至っていて拳銃によって犯行が促進されたあるいは勇気づけられたような事情は見受けられないように思えることから、幇助犯の成立を否定してもいいように思われる)

共犯の成否

教唆の未遂

 正犯が未だ実行行為に至っておらず処罰されない以上、制限従属性説からは不可罰となる

 極端従属性説でも、最小従属性説でもいずれにしても、構成要件に該当していないため、不可罰である。

未成年者に対する幇助

 制限従属性説からは、正犯に責任があることまでは必要とされないため、幇助犯が成立する

 極端従属性説であれば、正犯に責任がないことから不可罰。最小従属性説であれば構成要件に該当しているため幇助犯が成立する

正当防衛を利用した殺人

 制限従属性説からは、正犯に違法性があることを必要とするため、正犯が正当防衛で違法性が阻却される以上幇助犯は成立しない。ただし、間接正犯が成立する。

 極端従属性説でも、正犯に違法性があることを必要とするため不可罰。ただし間接正犯が成立。最小従属性説であれば幇助犯が成立する。

共犯における抽象的事実の錯誤

 近くにAがいることから、いまだAに占有があるものという前提で考える。

教唆犯に錯誤があった場合

 正犯は、窃盗の故意で窃盗罪の構成要件に該当する行為を行っている以上、窃盗罪が成立する。

 教唆犯は、占有離脱物横領の故意で窃盗の教唆をしている以上、構成要件の重なり合う範囲で占有離脱物横領罪の教唆犯が成立する。

正犯に錯誤があった場合

 正犯は、占有離脱物横領の故意で窃盗罪の構成要件に該当する行為を行っている以上、構成要件の重なり合う範囲で占有離脱物横領罪が成立する。

 教唆犯は、窃盗の教唆をしているが、実際に正犯には占有離脱物横領罪しか成立しない以上、犯罪共同説より、罪名が従属し、占有離脱物横領罪の教唆犯の成立にとどまる。