新過失論
制限速度遵守など法令上の注意義務を起訴としつつ具体的な状況に照らし「社会生活上必要な注意」という観点から注意義務(予見義務+結果回避義務)を認定する必要がある。
したがって、園児の飛び出しが予想されるような状況においては、単に規制速度を遵守するだけでは結果回避義務を果たしたとはいえず、園児が飛び出してきたとしても結果を回避できるような速度で走行することではじめて、結果回避義務を尽くしたということができる
238事件(炭化導電路)
実際の因果経過が予見可能ではなかったことから、予見可能性を欠くのではないかということが問題となった。
240事件
軽トラックの荷台に被害者2名が乗り込んでいる事実を認識していないことから、現に生じた侵害の客体に侵害が生じることの予見可能性がなく、過失犯が成立しないのではないかということが問題となっている
「無謀ともいうべき自動車運転をすれば人の死傷を伴ういかなる自己を惹起するかもしれないことは、当然認識し得たものというべき」として、過失犯の成立を肯定。上記予見可能性は不要とする
250事件
不作為犯の成否
①作為との構成要件的同価値性
(i)支配性
「自ら又はHを指揮してこれらの防火管理体制の不備を解消しない限り、いったん火災が起これば、発見の遅れや従業員等による初期消火の失敗等により本格的な火災に発展し、従業員らにおいて適切な通報や避難誘導を行うことができないまま、建物の構造、避難経路等に不案内の宿泊客らに死傷の危険の及ぶおそれがある」状況だった
(ii)法的作為義務(or先行行為)
「代表取締役社長として、本件ホテルの経営、管理事務を統括する地位にあり、その実質的権限を有して」おり、「あらかじめ防火管理体制を確立しておくべき義務を負っていた」ことから作為義務も認定できる。
以上(i)(ii)より作為との構成要件的同価値性を認定できる
②作為の可能性・容易性
「困難にさせる事情はなかった」ことから、スプリンクラーの設置等による防火対策や防火指導等は容易に実行可能であったものと考えられる
以上①②より不作為犯としての実行行為性を認定することができる
過失犯の成立に関する予見可能性の有無
防火管理上の注意義務を負っていたのであり、それに違反したことから、過失犯の責任を負うことになる